Doctor's column

晩秋

色鮮やかに目を楽しませてくれた紅葉も時の移ろいと共に落葉へと変わり冬の足音が近づいてくる時期になりました。
春から夏へ、そして秋へと多くの命の息吹を感じられていた季節も一息ついて、少し物悲しく感じます。
多くの命は、次の活動期に備え、それぞれの方法で春を待つようになります。
活動を終え、次世代へと命をつなぐもの、活動を控えて次世代を育むもの、厳しい季節になって食料がままならなくとも次世代を産み育て春を待つものと自然の中ではさまざまです。
自然の中で生きていくことの大変さを改めて感じさせられる季節でもあります。
人と暮らすワンちゃんたちにとっては、野生動物の自然との共存や脅威と云う事は少ないかもしれません。
しかし、少ないと言ってもゼロというわけではありません。
その中の一つである蚊を介してうつるフィラリアの感染症予防は、とても大事なことです。
犬を好む寄生虫で、感染すると成長しながら体内を移動し、心臓で寄生生活をおくります。そして、仔虫を排出し続け、新たな感染源を形成していきます。
フィラリアの困ったところは、未承認の方法(薬効外)は存在するものの親虫を駆除する薬などの流通が無く、根本的に治療ができないことにあります。
その為、予防という手段がとても重要になるのです。
一年の中でこの時期の予防が最も大事な理由は、予防薬の与え方が、蚊が出てから1ヶ月後から始めて、蚊がいなくなってから1か月後まで服用させるという方法にあります。
ですので、折角、一年間、頑張って服用させてきたのに最後の1回を忘れたがために一年間の努力を無駄にしてしまい感染させてしまったという事態が起こり得ます。
その様な事態にならないため、予防薬は、自己判断で終了にせず、かかりつけの動物病院にご相談を。

松陰神社前 院長 早稲本

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